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新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、ASEAN諸国で契約の履行が不可能又は困難になる事態が発生しています。 下記のコラムは、マレーシアを中心にASEAN諸国に展開する法律事務所のネットワーク ZICO lawより提供いただいた情報を基に作成しております。 |
ASEAN諸国における契約上の問題に関する COVID-19の影響により、契約を履行することが不可能又は困難となった場合、契約当事者で協議が整わない限り、義務の履行を一時的若しくは完全に免れるか、又は契約そのものを解除して免責されるかどうかは、契約上、不可抗力(force majeure)事由があるといえるか、又は履行不能や契約目的の不達成などの契約法理の基礎となる事実が認められるかに左右されます。 1._不可抗力(force majeure)を理由とする免責 不可抗力とは、契約上の義務の履行を不可能又は著しく困難にする不測の事態や状況をいいます。具体的にどのような事態が不可抗力に該当するかは、不可抗力条項の規定によって異なります。 不可抗力条項による免責を主張する当事者は、COVID-19によって生じたロックダウンなどの事態が、合理的に予見できなかったことを立証しなければなりません。この点、SARSやMARSの流行と比較しても、COVID-19の世界規模の感染拡大やビジネスに対する影響は近年例をみないものであり、予見不可能であったと主張することは可能と考えられます。もっとも、契約の時期によって予見可能性に係る判断は異なり得るので、個別の具体的な事情や事実の確認が重要です。この点、WHOのパンデミック宣言(2020年1月30日)や各国におけるロックダウンの後に締結された契約については予見不可能であったと主張することは難しくなると考えられます。 なお、不可抗力を理由に義務の履行を拒絶した場合も、相手方が不可抗力条項の適用を争い、その適用が最終的に認められなければ、債務不履行などを理由に損害賠償義務を負う可能性がありますので、不可抗力条項の適用を主張する際には不可抗力条項の適用可能性を十分に検討することが この点、不可抗力事由の発生に係る通知義務や、不可抗力による相手方への影響や損害を最小化するための合理的な努力義務が定められていないかを確認し、これらの義務が定められている場合には、当該義務を履践した上で記録として残しておくことが重要です。また、不可抗力条項を理由に履行を拒絶する前に、相手方と協議により契約条件の見直しなどができないかを検討することも 2._不可抗力条項が定められていない場合の対応 契約上に明示的な不可抗力条項が定められていない場合や不可抗力条項による免責が難しい場合も、他の契約条項により免責などが認められないかを確認します。例えば、買収案件、プロジェクトファイナンス案件や投資案件では、重大な悪影響を及ぼす事由が発生した場合に契約当事者の 3._履行不能、契約目的の不達成などを理由とした免責 契約上に不可抗力条項やMAC条項が定められていない場合も、ASEAN諸国においては、法律や
次回は、後半として、各国契約法理上の履行不能、契約目的の不達成などを理由に免責される場合について、また、COVID-19後の契約実務とM&Aの留意点についてお届けします。 (文責:荒井) 私どもに何かお手伝いできることがあれば、ぜひお気軽にお問合せください。 |
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