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時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 米国における新型コロナウイルス(COVID-19)による契約上の問題について、整理しました。 下記の情報は、米国法律事務所のKirby McInerney LLPに所属するChristopher Studebaker弁護士より提供いただいています。 |
米国における新型コロナウイルス(COVID-19)に関連する COVID-19の感染拡大を理由とする不可抗力条項の適用可否、コモンローにおける履行不能(impossibility)、実行困難性(impracticability)及び契約目的の達成不能(frustration of purpose)の法理の概要と、実際に契約上の義務の履行に影響が生じた場合の戦略的対応について、そのエッセンスをご紹介いたします。 1._不可抗力条項 契約書にはしばしば不可抗力(force majeure)条項が定められます。これは、災害や戦争等の当事者のいずれの責によらない事由により、契約上の義務の履行が不可能または著しく困難になったときに当事者を当該義務から解放する条項です。不可抗力条項には、不可抗力事由の範囲、不可抗力事由が発生した場合の効果(解除権の発生、当該事由が解消するまで一時的に履行義務の免除、履行が不可能な義務の完全な免除等)や当事者の義務(相手方への通知義務や損害軽減義務)等が定められることが一般的です。 不可抗力条項について、米国では、裁判所がその適用を限定的に解釈し、適用の前提として当該事由が契約に明記されていることが要求される傾向にあります。そのため、COVID-19との関係では、契約書上で、不可抗力事由として(感染症の)アウトブレイク、伝染病やパンデミックといった事由が明記されていない限り、不可抗力条項を適用することは難しく、後で述べる契約法理による対応を検討する必要があります。 なお、不可抗力の範囲に関し、義務の履行に影響を与え、かつ、当事者の合理的な支配が及ばない事由全般を不可抗力の範囲に含める条項もしばしば見られます。しかし、COVID-19の文脈では、かかる包括的な定め方をした場合であっても、個別に不可抗力事由としてパンデミック等が明記されていない限り、不可抗力条項の適用が否定されると考えられます(ただし、不可抗力条項の解釈は州によって異なるため、契約が準拠する州の法令を理解しておくことが極めて重要です)。 2._履行不能・実行困難性・契約目的の達成不能 不可抗力条項を適用できない場合、または契約に不可抗力条項が定められていない場合には、コモンロー上の履行不能、実行困難性または契約目的の不達成の抗弁により履行義務が免れることができるか検討することになります。しかし、これらの抗弁が認められるかどうかを抽象論として論じることは難しく、事案ごとに事実を精査した上で検討することが必要です。また、これらの抗弁の適用範囲も州によって異なるため、契約が準拠する州の法令について事前にアドバイスを求めておくことも重要になります。
3._実務上の対応 企業の皆様におかれましては、まず、COVID-19の感染拡大により、自社または相手方が契約上の義務を履行できなくなるかどうかを検討することが肝要です。仮に義務の履行に影響があるのであれば、不可抗力条項やコモンローの契約法理に基づいて、義務の履行が免除されるのかを検討する必要があり、具体的には、以下のような手順で対応していくことが考えられます。
COVID-19の感染拡大が世界的に企業に悪影響を与え続ける中、契約当事者が契約上の義務を果たすことができない事態に直面することは避けられません。しかし、紛争に発展する前に、戦略的な対応をとることで、当該契約に関連するリスクを最小化することができます。 当事務所は、今後もクライアントの皆様が直面することが想定される国境を跨ぐ複雑な法律問題に関し、全力でかつ戦略的にご支援させていただきたいと考えております。 (文責:荒井) 私どもに何かお手伝いできることがあれば、ぜひお気軽にお問合せください。 |
【UPDATE】_新型コロナウィルス感染症に関する各国政府の対応策 _ _COVID-19 Government Measures Guide _ 【ウェビナー】_Global Automotive Supply Chain and the COVID-19 Pandemic _ _山田広毅弁護士が、Frost Brown Todd LLC主催のウェビナーに登壇いたします。 日時:4月28日 (火) 午後9時 (日本時間) お申込み:こちらよりご登録ください。 |
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