新春のご挨拶
新年、明けましておめでとうございます。
旧年中は、当事務所に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
多くの法的課題に直面する一年へ
企業法務のトピックに着目すると、昨年は、自動車業界や損害保険業界等を揺るがす不正問題で幕を開け、海外M&Aと安全保障問題、国内外の事業会社やファンドによる同意なき買収(敵対的買収)、アクティビストの活動の活発化のほか、サイバー攻撃による情報漏洩問題の多発等、企業活動をめぐる多くの法的問題に直面する一年でした。下半期には日米の選挙で日本の内閣総理大臣とアメリカ大統領の交代があり、時代の変革期を感じさせる年となりました。このような状況において、企業が直面する法的課題は、伝統的な法律業務にとどまらず、経営判断や国際問題にかかわる領域が大幅に拡大し、企業の法務・リスク管理機能の対応力の強化が大きな課題となっています。
今年も、引き続き、資本コストと株価を意識した企業経営、政策保有株式の解消の流れとも相まって、同意なき買収(敵対的買収)やアクティビストの活動の更なる活発化という「外圧」への対応が経営課題となるとともに、経営判断による事業ポートフォリオの見直し、国内外の事業再編も加速することが予想されます。また、好調な企業業績を背景に、国内外でのM&A・成長投資の拡大が予想される中、米国トランプ大統領による通商政策の行方、米中の貿易摩擦が再燃する懸念、経済安全保障の問題の複雑化等、不確定要素が増加し、国際的な企業活動における法的リスクが高まる一年になると見込まれます。
当事務所において、昨年は、欧米、アジア等でのクロスボーダーM&A、上場会社のTOB(公開買付け)、ポートフォリオの再構築やカーブアウト案件等の国内M&Aが大幅に増加したほか、エネルギー・インフラプロジェクト、国際紛争解決(裁判、国際仲裁)、企業の危機管理・不正調査業務等、クライアント企業の多くの重要なプロジェクト・案件をご支援する機会に恵まれました。こうした経験から得られた知見を活かし、今年も万全の体制を整えて、クライアント企業をご支援して参る所存です。
「日本発のグローバル・ファーム」としての組織体制の強化
さて、当事務所は、2019年4月の設立以来、「日本発のグローバル・ファーム」として、東京を拠点に、世界の主要法域に関するリーガルサービスを提供できる国際的な弁護士チームを構築してまいりました。特に昨年は、経験豊富なシニア弁護士と外国法弁護士を中心に大幅に陣容を拡大し、その結果、設立から約5年余りで、弁護士・外国法弁護士の人数は約40名となりました。現在では、日本に加え、米国、イングランド及びウェールズ、フランス、インド、中国の法域についてリーガルサービスを提供するほか、フィリピン、オーストラリア、ニュージランドの資格保持者をチームに擁し、国内でも有数の幅広い国際対応力を有する体制を有しております。
組織体制の強化により、当事務所の主力業務は、コーポレート・M&A業務、国際紛争解決業務に加え、エネルギー・インフラ業務、グローバルコンプライアンス・不正調査業務へと拡大しております。さらに昨年は、税務専門のパートナー弁護士を迎えたことで、新たに国際税務業務の支援体制を整えております。国際的な企業活動に伴う税務問題に対し国内外の税務当局による執行は活発化しており、企業の国際税務問題は今後より大きな企業課題となっていくと見込まれます。また、人手不足が深刻化する中、企業の法務部が抱える法務部員のリソース不足の課題に対し、引き続き、リモート・インハウスサービスの支援体制の充実を図ってまいります。
こうした組織体制と主力業務の強化を受け、昨年は、Asia Business Law Journalの2024 Japan Law Firm AwardsにおいてBest Boutique Law Firmに選出される等、当事務所は国際的な評価も高めてきました。当事務所は、今年も引き続き、クライアント企業の皆様の課題解決に一層のお力添えができるよう、更なる組織体制の強化に努めてまいります。
東京とシンガポールの二拠点体制へ
さらに、当事務所は、東京拠点に加え、成長が著しいアジア・太平洋地域、さらにはグローバル・サウスでの国際業務の増加に対応するため、シンガポールにおいて外国法事務所(Foreign Law Practice)としてのTKI (Singapore) LLPを設立し、2025年1月中を目処に、当事務所初の海外オフィスとなるシンガポールオフィスを開設いたします。
当事務所初の海外オフィスとなるシンガポールオフィスの開設は、「日本発のグローバル・ファーム」としての歩みを、大きく進めるものとなります。日本企業及び国際的企業のアジア地域統括拠点の多くが所在し、アジア太平洋地域の紛争解決及び投資のハブとなっているシンガポールにオフィスを構えることで、当事務所の主力業務であるコーポレート・M&A業務、国際紛争解決業務をさらに発展させていくとともに、国際的企業のアジア統括拠点が管轄する日本へのインバウンド法務のニーズにも応えてまいります。
グローバル・ファームとしての役割を全うする
当事務所は、変化する時代に対応して新たな法的ニーズを的確に捉え、日本企業及び国際的企業が直面するクロスボーダーの法的課題に取り組み、「日本発のグローバル・ファーム」としての役割を全うできるよう、今年も引き続き、以下の使命を果たしていくことを目指してまいります。
- クロスボーダーの法律問題に立ち向かう企業の皆様に対して、先進的な専門領域での知見に基づく戦略的かつ機動的なリーガルサービスを提供することにより、最良の結果を勝ち取るためのサポートをする
- 東京とシンガポールの二拠点体制を軸に、世界50-60か国における200を超える海外事務所との独自のネットワークを活用し、能動的に皆様の真のニーズを探り、ビジネス視点を踏まえたリーガル・ソリューションを提供する
- 常にクライアントの皆様の期待を大きく上回り続け、皆様のビジネスの成功に向け、最大の付加価値を提供する
末尾ではありますが、皆様の本年の益々のご発展とご多幸を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。
2025年 新春