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2023.01.11

弁護士の仕事はクライアントを成功に導くこと – 外資系法律事務所で培った経験をTKIの成長へつなげたい

約12年にわたる外資系法律事務所での経験を経て、2022年8月に東京国際法律事務所(以下、TKI)へ参画した石原尚子弁護士。これまでのキャリアを通じて培った「クライアントを成功に導くための法的サポートを提供する」という考えが、TKIでの仕事にもつながっていると話します。今回のインタビューでは、石原弁護士の仕事観に迫りました。

根本にあるものは「クライアントを成功に導く」こと

まずはこれまでのご経験について伺っていければと思います。前事務所ではどのような業務に携わられていたのでしょうか。

知財法、VC/スタートアップ関連法務、独禁法、EC関連法務、社内調査業務などといった企業法務、知財訴訟、企業間紛争の案件を中心に扱っていました。

大型の特許訴訟に若手のうちから関わることができ、裁量を持って働くことができたのは得難い経験でした。

今でも自分の根本的な姿勢として持っている「クライアントを成功に導く」、「クライアントのニーズをきちんと汲み取り、それをサポートするための法的分析を行う」という仕事のやり方は弁護士1年目から身につけてきたものです。

特許訴訟、知財訴訟の案件にはどのように取り組まれていましたか。

特許訴訟では、機械工学や通信など技術的な専門知識が求められます。私は法学部出身なので理系のバックグラウンドはありませんが、そうした専門知識を弁理士の方やクライアント企業の技術者の方から学び、法的な主張に再構成して法廷で裁判官にもわかるように伝えていく"翻訳者"、"伝達者"としての魅力を感じています。

自分が持っている身近な製品に関わる技術を学ぶこともでき、新しいことを知るのが好きな自分に向いているな、興味深いなと感じていました。

外資系法律事務所で勤務されたからこそ得られた経験もありそうです。

海外のクライアントは日本の訴訟制度に関するバックグラウンドがないことも多く、日本では常識とされている点にも「なぜ米国ではやれるのに日本ではできないのか」「日本には同じような制度はないのか」といった形で鋭い質問が寄せられます。日本法の常識にとらわれず、原理や根本から考え抜くという経験を積んで、日本の訴訟制度の慣習にとらわれず、訴訟戦略を多角的に考える姿勢が身につきました。

法律相談以外でも発揮できるバリューがある

外資系EC企業への出向経験もあるそうですね。


留学から帰ってきて少し経った2019年に、もともとサポートしていたクライアント先へ出向することになりました。

企業における意思決定の仕方や法務組織のビジネスに対するサポートのあり方を学び、最先端かつ未知の業務のための法務分析を提供し、ビジネスを実現させるという経験はなかなかに得難いものでした。

法律事務所の中にいる時とは案件の見え方も違いましたか?

企業内は案件数も多く、意思決定も早いため、要所を押さえて広く横断的にスピード感をもって対応する必要があります。

インハウスロイヤーがいたとしても、企業内から外部弁護士に依頼する場合、外部弁護士の分析が企業の決断の最終的な拠り所にもなりえます。外部の法律事務所は、その決定に耐えうるだけの深い分析が求められるので、インハウスロイヤーとは役割が異なります。

私はビジネスの考えを理解し、法的にどうビジネスをプロアクティブにサポートできるかを考えることが楽しかったので、ビジネスの近くで仕事ができたことは楽しかったです。

出向経験はTKIの業務にどう活きていますか?

常にビジネスの近くにいる弁護士でありたいと思っています。例えば、スタートアップのお客様と「これは法律相談ではないけど困っていますよね?」というお話をして、よろず相談のようにサポートさせていただくことがあります。

これはやりがいでもあるし、楽しいです。お客様自身が意識していない法的・ビジネスにかかる問題点をきちんと視覚化して対応策を提示するところに私自身のバリューが出せる所だと思っています。

クライアントへの提供価値に共感して決めたTKIへの入所

TKIへの入所を決められた理由を教えてください。


12年間弁護士として経験を重ね、改めて自身のキャリアを考えたとき、「さらに厳しい環境に身をおいてチャレンジすることで個人として成長したい」、「弁護士としてさまざまなクライアントのサポートをしたい」と思うようになりました。

TKIに決めた理由は、採用面接の際、山田弁護士のクライアントサービスへの考え方に共感したことが大きかったです。

前提として、弁護士はサービス業だと思っています。まずクライアントニーズがあり、そのニーズをどうやって実現するのか、もしくはどうやってリスクを減らすのか、と考えて法的分析と提案を行うことが、私たちのサービスです。

この考えは代表である森弁護士、山田弁護士だけでなくTKIのメンバー全員に一致していると思います。

共感が決め手だったのですね。

面接で盛り上がり、「この先生の事務所で働けたら面白そう」と思いました。お話をした後にとてもワクワクしたことを覚えています。

特に、どのような点に魅力を感じましたか?

新鮮かつ勢いがある、スタートアップ的な空気感です。TKIは規模を拡大している段階であり、皆で意見を出し合って事務所を作っています。このタイミングでしかできない、事務所の成長に自分が関われる点に魅力を感じて入所を決めました。

自分が持っているものを活かし、事務所の成長に貢献したい

TKIに参画されて3か月ほど経ちましたが、実際に働いてみていかがでしたか。

入所前に感じていたように、自分たちで事務所を作っていける環境だと感じました。

若手の育成やスタッフのマネジメントなどについて、メンバー皆で協議をして決めており、透明性の高いコミュニケーションが行われているのは特徴的です。

年次が上の弁護士達から若手弁護士に対して話しかける事も多く、心理的にも距離を縮めていけるよう心がけているので、若手でも受け身にならず積極的に発言しています。

事務所内でもコミュニケーションが活発になるように工夫されているのですね。

そうですね。普段の業務だけでなく、新卒メンバーのリクルーティングやイマージョン・プログラムなどさまざまな場面でスタッフも含めて一緒になる機会があるので、自然とコミュニケーションが生まれます。

Slackでもカジュアルにやりとりをされていると伺っています。

SlackでのコミュニケーションはTKIに来て初めて経験しましたが、リアクションの早さや、「いいね!」といったスタンプで意思表示が完了することに驚きました(笑)。

この先、TKIではどのような事に取り組んでいきたいと考えていますか?

経験も含めて自分が持っているものを事務所の皆に提供し、クライアントによいサービスを提供し、事務所の発展に貢献したいと考えています。アソシエイトの成長は後押ししたいですね。

また、事務所を拡大していくにあたっては、弁護士だけでなくスタッフの成長も重要です。

現在は皆でスタッフのトレーニングプログラムをつくっているところですが、よりスタッフの方が自分自身の志向に合わせて専門性を高めていけるような仕組みを構築していきたいと思っています。皆が働きやすい環境を作ることに携われるのは楽しいです。

最後に、今後のビジョンについて教えてください。


TKIに入所して、シニアの弁護士として事務所を良くしていきたいという意識が高まりましたし、それに対する責任感が強くなったように感じています。

特にこれまで培った経験や知見を若手に還元していきたいと考えています。ただそれは、案件という場があるから提供できることでもあります。

知財訴訟、企業間紛争という自分のこれまでの専門を活かすことはもちろんですが、出向の経験などで企業に生じる多種多様な問題に広く関与してきたこともありますので、今後はコーポレート、M&A、人事労務など、クライアントのニーズに合わせてサポートできる領域をさらに広げていきたいですね。

(文:周藤 瞳美、取材・編集:周藤 瞳美・松本 慎一郎、写真:岩田 伸久)