2022.10.19
【TKI若手座談会】若手弁護士でも裁量と責任を持って働く – やりがいと成長を促す秘訣とは
東京国際法律事務所(以下、TKI)では、新卒をはじめ若手弁護士を積極的に採用しています。弁護士にとってTKIは、自ら率先して成長の機会を得て、若いうちから多様なスキルや経験を身につけていける環境が整っているといえます。
今回の座談会に参加した、福原 聡弁護士(71期)、木村 悠希弁護士(74期)、グリアー ともニュージーランド弁護士(日本未登録)も、裁量と責任を持って働くTKIの若手弁護士です。彼らはやりがいと成長をTKIでどのように実現しているのでしょうか。普段の働き方やプライベートの過ごし方、事務所内の様子に迫り、その秘訣について探っていきます。
福原聡弁護士
2018年弁護士登録、2022年7月TKI入所
国内渉外事務所において、M&A、買収ファイナンス、個人情報保護法(GDPRを含む)関連の対応等のコーポレート業務、国内外の訴訟、各種規制法対応、倒産・民事再生等を含む幅広い法律実務の経験を有する。
木村悠希弁護士
2022年弁護士登録、2022年4月TKI入所
M&Aを主軸としつつ、コーポレート、各種規制法、紛争等を含む企業法務分野を幅広く取り扱っている。
グリアーともニュージーランド弁護士(日本未登録)
2017年ニュージーランド弁護士登録、2020年1月TKI入所
2017年にニュージーランドにおいて過去10年間で最年少の若さ(21歳)で弁護士資格を取得。コモンロー(英米法)とネイティブレベルの日本語・英語のバイリンガルのスキルを活かし、クライアントの皆様のために活躍したいと考えている。
TKIで弁護士としてのキャリアを築く魅力TKIの特徴は、ミッションとパッション、そして「人」の魅力
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
福原弁護士:前職は150名ほどの大規模事務所に所属していましたが、メンバー同士で切磋琢磨できるより勢いのある事務所で働きたいという思いから、2022年7月にTKIへ移りました。弁護士としては今年で4年目になります。現在はM&A、輸入規制や再生エネルギー関係、訴訟など幅広い案件に対応しています。
グリアー氏:福岡生まれニュージーランド育ちで、ニュージーランド資格とオーストラリア資格(法律資格登録済み、実務研修未了)を持っています。TKIには2020年1月に参画しました。母国語は英語ですが、日本語も話せます。語学スキルや欧米と日本双方のカルチャーへの理解を活かして、日系企業と海外の架け橋になれるような案件を手掛けていきたいと考え、TKIへ入所しました。過去に取り組んだ案件についてはこちらのインタビューもご覧ください。
木村弁護士:2022年4月にTKIへ新卒で入所しました。私は中学高校大学とAll Englishメソッドの英語塾で育ちましたが、TKIは雰囲気やカルチャーがかなり近く、親しみを感じました。現在はM&Aのデューデリジェンスやインターンシップ・プログラムの運営を主に担当しています。
入所前に感じられていたTKIの魅力について、詳しく伺えますか。
グリアー氏:何よりも「世界で勝負するための武器を提供する」というTKIのミッションに共感しました。
木村弁護士:ミッションへの共感はみんなが持っていると思います。私は外資系事務所も候補に考えていましたが、TKIは「日本企業を支える」ことが1つの大きな軸になっていて、その点がユニークで魅力的だと感じました。
グリアー氏:一方で、インターナショナルであるという特徴もあります。使う言語は日本語でも英語でも良いし、働き方も日本と海外2つの文化の良いところを取り入れています。TKIは純粋な日系事務所でもなく、かといって外資系でもなく、「私のようにハーフだ!」と思える事務所でした。入所を考えていた当時は設立1年以内で、まだ女性や外国人弁護士のロールモデルがいなかった時期でしたが、入所前の面談では、代表の山田弁護士からダイバーシティの重要性について説明を受け、まさに女性で外国人弁護士という自分のようなキャリアを持つ人材が求められていると感じました。
木村弁護士:最終面談ではたくさんの先生方とお会いし、日本語も英語も交えてお話しました。私としては、TKIのインターナショナルで柔軟な雰囲気を感じるとともに、TKIメンバーの打ち解けた日常の雰囲気も感じられ、「このメンバーと一緒に仕事がしたい」と心から思えた機会でした。
グリアー氏:先生方のパッションやビジョン、優しさなど人柄も魅力的でした。弁護士業務は忙しいので、一緒に働く人たちと良い関係性を築けていなければ、仕事は楽しくないしやりがいもないと思うのです。
福原弁護士:「人」の魅力は確かに大きかったですね。それに伴って非常にパッションのある事務所だと感じました。他の事務所と比較して、TKIの面談は自分自身を一人の「人」として肯定的に見てもらえていると実感しました。
また、TKIは設立直後から前職の大手事務所と肩を並べるくらいのクライアントを持っており、クオリティの高いプロフェッショナルな仕事ができている証だと感じました。
ハードな職業だからこそ、仕事以外の時間も大切に
みなさんの普段の1日のスケジュールについて教えてください。
福原弁護士:日によりますが、7時30分-8時までの間に起床し、忙しいときは21時から深夜まで執務に当たることもあります。仕事が早く終わった日はジムに行くようにしています。また、犬を飼っているので休日は一緒にランチへ出かけます。
脳をリフレッシュさせるために、少しの間でも仕事以外のことを考える時間を作るのは大事なことだと思っています。また、自分だけでなく、他のメンバーのワークライフバランスや仕事に対する考え方などを知ることも大切だと考えています。
木村弁護士:外国人弁護士や外資系出身の弁護士が増えてきたことで、より一層、メンバーのオフの時間を尊重する雰囲気になってきていますね。
グリアー氏:そうですね、お互いの業務のタイムゾーンを把握したうえでコミュニケーションが取れているように思います。
私は、現在「アイアンマンレース」という世界一過酷ともいわれるトライアスロンレースに向けてトレーニングをしています。そのため、毎朝5時30分-6時に起きて2時間ほどトレーニングを行ってから9時に仕事を開始します。9時30分からは、TKIメンバーが全員参加するCatch Up Meetingが行われます。そこから18時ごろまで仕事をして、時間が許せば、趣味の料理を作って夕食を取ります。そのときの業務状況次第で、その後また仕事を再開し、終わるまで続けます。
ただ、忙しくない日には、業務の効率性を上げるためにも早寝して睡眠を取るよう心がけています。また、プライベートでは、メンタルヘルスの観点からもSocial Life(家族と友人との繋がりを大切にすること)を意識しています。弁護士業務は「マラソン」だと思うので、burn outしないように自分の心と身体のケアすることがとても重要だと思っています。
木村弁護士:私はわりと夜型なので、Catch Up Meetingの直前に起きることが多いですね。その後は、深夜まで事務所にいたり、帰宅後も朝までドラフトしていたりする日もあります。仕事が忙しくないときの休日は、舞台鑑賞や美術展訪問、読書などをして過ごしています。仕事を離れて自分の好きなものを楽しむことが、案件が急に忙しくなり負荷がかかったときでも対応できる柔軟さにつながると考えています。
若手弁護士のやる気を引き出すTKIの執務環境とは
在宅でもお仕事をされているようですが、リモートワークの状況について教えてください。
福原弁護士:週3-4日は出勤し、残りはリモートです。
グリアー氏:私はだいたい週2日事務所、週3日リモートにしています。
木村弁護士:私の場合は事務所勤務がほとんどです。事務所のほうがほど良い緊張感があるのと、上の年次の先生方の会話が自然と耳に入ってきて勉強になるためです。子育て中の方はフルリモートにされていたりと、年次問わずその人の事情に合わせてフレキシブルな働き方を選ぶことができています。
オンラインでのコミュニケーションの手段として、Slackも活用されているそうですね。
木村弁護士:所内のやり取りはできるだけSlackのオープンチャンネルで行っています。透明性の高いコミュニケーションを心がけることで、先輩方からのサポートを受けやすくなりますし、信頼関係の構築や心理的安全性の確保にもつながっています。1年目でも、オープンチャンネルで自分の意見を積極的に発信しやすいです。年次を問わず、スタンプの利用も活発ですね。
福原弁護士:新規案件の通知が来た際には「いいね!」を押して事務所全体で喜ぶなど、良い雰囲気が生まれています。メールでやり取りするよりも仕事をスピーディーに行えるという効果もありますよね。
事務所内の様子はいかがですか。
福原弁護士:今はフリーアドレス制で、好きな場所で仕事をすることができます。他の事務所では、アソシエイトは半個室、パートナーは個室といったレイアウトが多いですが、TKIの場合、多様な意見交換ができるようパーテーションなどでは区切らず、気軽に他の弁護士たちと相談できます。
話題は、案件やビジネスの話題から、プライベートな話までさまざま。アソシエイトにとっては勉強の機会になりますし、他のメンバーの体調や忙しさも把握できる良い環境です。
木村弁護士:フリーアドレス制になる以前、私は山田弁護士の正面の席だったのですが、モニター越しにちょっとのぞき込むと、「ん、どうしたの?」と声をかけて相談に乗ってくださいました。代表弁護士と1年目とは思えない距離感で、当時とても嬉しかったことを覚えています。
グリアー氏:忙しい時期は孤独になりがちなので、事務所にいて気を使ってもらえるのは非常にありがたいです。大手事務所ではアソシエイトが大量に所属していて、上下関係が強調されることも多く、一人の人間としてではなく一つの駒として見られているような感覚になることもあります。
一方、TKIでは、ジュニアでも入所直後にシニアのパートナーと2人で案件を一緒に回す機会も多く、大事な仕事を任されることもあります。1人の人間、そしてチームメンバーとして大切にされている実感がありますね。
成長の機会に溢れる超実践的な教育プログラム
TKIの教育プログラムである「Immersion Program」についてご紹介いただけますか。
グリアー氏:Immersion Programでは、デューデリジェンスやTOB、英語会議、再生可能エネルギー取引など、TKIのメンバーが実際に手掛けた案件をもとに、新人向けに講義を行います。新人はその後、講義内容をもとにした課題に取り組み、担当弁護士からフィードバックを受けます。教科書には載っていないようなリアルな問題について考える機会になります。
実は、講義する側にとっても良い経験です。個人的には、入所直後に関わった欧州の大型M&A案件を「英文SPA(株式売買契約)セミナー」というプログラムにつなげました。実際に案件から学んだ知見を言語化することはとてもためになりましたし、人前でプレゼン/講義をする貴重な機会にもなりました。
福原弁護士:講義は録画されているので、中途入所の弁護士でも受講することができます。私も入所したばかりで仕事に余裕がある時期に録画を見て勉強していました。
新人の場合、他の事務所では数週間程度座学を受けたあとOJTで学んでいく形が一般的だと思いますが、Immersion Programは演習まで行えるのが特徴です。期限までに課題を提出しなければならないので、実際の案件に近い感覚が得られます。
木村弁護士:演習の提出期限は意外と短いのです。そのぶん、案件に取り組むときの心構えや負荷のかけ方まで含めて学ぶことができているように思います。
今年からインターンシップ・プログラムも始められたそうですね。
木村弁護士:はい。今年の夏にTKIとして初めて開催しました。TKIのアピールポイントをより多くの方に知っていただき、学生さんと距離感の近い事務所となれるよう、今後もインターンに限らずさまざまなイベントを企画したいと思っています。
私はインターンシップ・プログラムの責任者を務めています。チームのためにできることを巻き取っていたら、いつのまにかプロジェクトを回す立場になっていました。このように若手が自分で役割を見つけて裁量を発揮することに対してポジティブに捉えてくれるのも、TKIの良いところだと思います。
福原弁護士:森弁護士には入所してすぐに「事務所で発行するニュースレターを書いてみないか」と提案していただきました。若手の頃からマーケティングの意識を持つことができる点は、若手にとっては大事な魅力だと思います。
グリアー氏:私もニュースレターの執筆には積極的に手を挙げるようにしています。何の挑戦に対しても、自ら手を挙げると「やりたいなら応援します」と言ってもらえる雰囲気がありますよね。
柔軟に働くことができ、自由に挑戦できるからこそ、ロールモデルも多様
最後に、今後のビジョンについて教えてください。
木村弁護士:まずはじめの3年間は、幅広い分野の案件を経験することを意識し、5年後にはチームをマネジメントできるスキルを身につけていたいです。英語会議をファシリテートするなど、英語案件でプレゼンスを発揮できるようになるのも目標です。そして、10年後には、クライアントの前に専門家として自信を持って立てるようになっていたいですね。TKIには女性弁護士も増え、キャリアプランだけでなく、私生活まで含めたロールモデルが多様になってきているので、参考にしながら仕事に取り組んでいければと思っています。
グリアー氏:英国の資格を取得したいと考えています。ニュージーランドとオーストラリアの法律は英国の法律に基づいて制定されていますし、クロスボーダーやファイナンスの案件は準拠法が英国のものが多いためです。ただ、私はどちらかというと明確にビジョンを定めるより、オープンマインドを持ってフレキシブルであることを大事にしたいと考えています。時代もマーケットも大きく変化していくなか、クライアントのニーズが高まる法律分野や新しい法律分野もこれからたくさん出てくるように思います。ある程度の方向性は定めつつも、ワクワクする分野やチャレンジしたいことに出会えたら、積極的に受け入れていく姿勢を持っていたいですね。
福原弁護士:3年後には留学に行きたいと考えています。この先、M&Aを自分の専門領域にしていきたいという思いがある一方で、それ以外にも何か柱となる分野を身につけていきたいので、LLMだけでなく、MBAの取得にも興味があります。留学で培った知識や人脈なども活かし、10年後にはさまざまなビジネス分野の人たちと仕事ができるようになっていたいです。
(文:周藤 瞳美、取材・編集:周藤 瞳美・松本 慎一郎、写真:岩田 伸久)